FXの「よくある失敗」をまとめた記事は、検索すればいくらでも見つかります。レバレッジをかけすぎる、損切りができない、感情で売買してしまう。書かれている内容は、どれも正しいものです。
それでも、一覧を読んで納得した人が、翌週には同じ失敗をしている。FXではこれが珍しくありません。私自身、失敗のリストを知っていながら、同じ穴に何度も落ちた時期がありました。
知っていることと、やらずにいられることは別物です。
この記事では、初心者がやりがちな11の失敗を、ばらばらの注意事項としてではなく「3つの根っこ」に分けて整理します。枝を一本ずつ切っても、根が残っていれば別の枝が伸びてきます。見るべきは根のほうです。
11の失敗は、3つの根っこに分けられる
先に全体像を置いておきます。
- 根っこ1:お金の器を決めていない(なくなると困るお金で取引する/レバレッジを上げすぎる/スワップを放っておける収入だと思う)
- 根っこ2:判断の軸を持っていない(勘と運で入る/感情で売買する/損切りができない/理由のないナンピン・両建て/常にポジションを持ちたがる)
- 根っこ3:自分の土俵を決めていない(通貨ペアを広げすぎる/取引する時間帯を決めていない/情報に流される)
自分がどの根っこに引っかかりやすいか。それを意識しながら読み進めてみてください。
根っこ1:お金の器を決めていない
失敗1:なくなると困るお金で取引している
生活費や、近いうちに使う予定のお金で取引をすると、チャートを見る目そのものが変わります。損を確定させることが「生活が削られること」と同じ意味になるので、損切りの指が動かなくなる。
技術の問題に見えて、実は入口の資金で勝負がついていることが多いのです。
余剰資金とは「ゼロになっても生活が崩れない金額」とよく言われます。私はそこに「気持ちも崩れない金額」を付け加えたいと思います。金額の大小ではなく、失ったときに冷静でいられるかどうかが基準です。
失敗2:レバレッジを上げすぎている
レバレッジを「利益を増やす道具」だと考えると、つい上げたくなります。けれども実際には、レバレッジは「どれだけの値動きに耐えられるか」を決める数字です。
国内FXの上限である25倍いっぱいで建てた場合、理屈の上では約4%逆に動くだけで証拠金がほぼ尽きます。ゴールドは1日に1〜2%動く日も珍しくありません。数日の普通の値動きで、口座が耐えられなくなる計算です。
読みが正しくても、途中の揺れに耐えられなければ意味がない。レバレッジを下げることは、自分の読みが正しかったときに、その結果を受け取るまで生き残るための準備でもあります。
関連記事:ハイレバ取引で少額から始める前に/少額のロット管理
失敗3:スワップを「放っておける収入」だと思っている
高金利の通貨を買って、金利差を毎日受け取る。口座に数字が積み上がっていくので安心しやすいのですが、ここには二つの落とし穴があります。
一つは、金利差そのものが政策で変わること。差が縮めば受け取りは減り、逆転すれば支払いに変わります。もう一つは、通貨そのものの値下がりです。何年もかけて積み上げたスワップが、数日の下落で消えることは実際に起きます。
スワップ狙いとは、長い期間の値動きに耐え続ける取引です。低いレバレッジは選択肢ではなく、前提条件だと考えてください。
根っこ1の共通点と、器の決め方
この3つは、どれも「どこまで失っていいか」を先に決めていないところから生まれます。
よく知られた目安に、1回の取引で失う金額を口座の1〜2%までに抑える、という考え方があります。数字で比べてみます。口座50万円で、10回続けて負けた場合です。
| 1回あたりの損失 | 10連敗後の残高 | 元に戻すのに必要な利益 |
|---|---|---|
| 口座の5% | 約29.9万円 | 約+67% |
| 口座の1% | 約45.2万円 | 約+11% |
10連敗など起きないと思うかもしれません。ですが、相場を続けていれば起きます。そのとき、+11%で戻れる位置にいるか、+67%が必要な位置にいるか。この差が、続けられる人と退場する人を分けます。
関連記事:資金管理が一番難しい
根っこ2:判断の軸を持っていない
失敗4:勘と運で入っている
勘で入って勝った取引は、次にどう繰り返せばいいのかが分かりません。勝っても学びが残らない。これが勘の取引の一番の問題です。
勝ったか負けたかより先に、「なぜそこで入ったのか」を一行で説明できるかどうか。説明できない取引は、結果にかかわらず見直しの対象です。
説明の材料になるのが、相場の基本的な見方です。トレンドの定義、ローソク足の形、移動平均線、水平線。地味ですが、私が長年使っているのもこうした当たり前の道具だけです。
関連記事:ダウ理論とは?/ローソク足とプライスアクション
失敗5:ルールを決めず、感情で売買している
「感情を捨てて機械的に取引しましょう」という助言をよく見かけます。半分は賛成です。
ルールの役割は、感情から判断を守ることです。判断そのものを手放すことではありません。入る前に、少なくとも次の3つだけは決めておく。
- どこで、どんな理由で入るか
- どこまで逆に動いたら、自分の読みが外れたと認めるか
- どこで利益を確定するか
ここで一つ注意があります。「ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売り」をそのままルールにする人は多いのですが、移動平均線の交差は値動きが起きたあとに出る遅いサインです。相場がトレンドなのかレンジなのかを見ずに使うと、レンジ相場では買っては切られ、売っては切られを繰り返します。
ルールとは、決まった形を覚えることではなく「この状況なら、この理由で入る」と自分の言葉で説明できるものだと私は考えています。
関連記事:移動平均線とは?
失敗6:損切りができない
損切りができない理由の多くは、損切りを「負けを認めること」だと感じてしまうところにあります。
私は損切りを、自分の読みが外れたと早めに気づけた証拠だと捉えています。外れた読みにしがみつくほうが、よほど大きな負けにつながります。
実践としては、逆指値(損切り注文)を入る前に置くことです。ポジションを持ったあとは、含み損が判断を曇らせます。冷静なうちに決めた位置が、一番信頼できる位置です。なお、相場が急変したときは逆指値でも想定より不利な価格で約定することがあります。その分の余裕も、資金の器に含めて考えておきます。
関連記事:損切りできない時どうするか
失敗7:理由のないナンピンと両建て
下がったから買い増す。平均の買値が下がって気持ちは楽になりますが、ポジションはその分大きくなっています。下がった理由を確かめないままのナンピンは、間違っているかもしれない判断にお金を足す行為です。
入る前に「こことここで分けて買う」と決めていた買い増しと、含み損に耐えられずに行うナンピンは、見た目が同じでも中身がまったく違います。
両建ても似ています。買いと売りを同時に持つと損益が止まったように見えますが、実際には決断を先送りしているだけです。取引コストは二重にかかり、最後はどちらを外すかで結局迷うことになります。
失敗8:常にポジションを持っていないと落ち着かない
いわゆる「ポジポジ病」です。負けを早く取り返したい、動いている相場に置いていかれたくない。そうした焦りから取引回数が増えるほど、一回あたりの根拠は薄くなっていきます。
専業になってから気づいたのは、トレーダーの仕事の大半は待つことだという点でした。何もしない日のほうが多い週もあります。
「今日は入らない」も、立派な判断の一つです。
根っこ2の共通点
勘、気分、含み損への恐怖、取り返したい焦り。5つの失敗はどれも、判断の基準が「その場の自分の外側」にあります。入る前に決めておくことで、判断をその場の感情から切り離すことができます。
根っこ3:自分の土俵を決めていない
失敗9:いくつもの通貨ペアに手を広げている
チャンスを逃したくなくて、あれもこれも見てしまう。結果として、どれも浅くしか分からなくなります。
初心者にはドル円が勧められることが多く、それも一つの答えです。ただ、私はどの銘柄から始めるかより「一つに絞って、なぜ動くのかを知る」ことのほうが大事だと考えています。
私の場合はゴールドです。ゴールドは、ドルの強弱と実質金利(金利からインフレ率を差し引いたもの)の影響を強く受けます。一つの銘柄の動く理由が分かってくると、同じニュースでも見え方が変わってきます。十の銘柄を浅く見るより、一つを深く。
関連記事:GOLD完全ガイド
失敗10:取引する時間帯を決めていない
平日はほぼ24時間取引できる。これは自由でもあり、落とし穴でもあります。
相場が大きく動きやすいのは、欧州の市場が開き、ニューヨーク市場と重なる日本時間の夜です。ゴールドも、米国の重要な経済指標が発表される時間帯に大きく動きます。
もう一つ大事なのが、その時間に自分が集中できるかどうかです。仕事で疲れた深夜の一回は、判断の質が落ちています。動く時間と、自分が冷静でいられる時間。その重なるところが、自分の取引時間です。
関連記事:雇用統計でゴールドはどう動くか
失敗11:情報に流されている
「今が買い」「この形が出たら必ず上がる」。SNSには確信に満ちた声があふれています。
意外に思われるかもしれませんが、よく当たる情報ほど危ないと私は考えています。当たり続けると、自分で考える理由がなくなるからです。そして情報源がいなくなったとき、あるいは外れ始めたとき、自分には何も残っていない。
他人の見立ては材料の一つとして受け取り、最後の判断は自分で下す。どんなに優れたトレーダーでも、毎回利益を出すことはできません。必ず勝てる方法は、どこにも存在しないのです。
関連記事:FXに魔法は存在しない
3つの根っこに共通するもの
ここまで見てきた11の失敗を、もう一段掘り下げてみます。
資金の器がない取引は、結果をレバレッジの大きさに預けています。判断の軸がない取引は、結果を運と気分に預けています。土俵を決めていない取引は、結果を他人の情報に預けています。
つまり3つの根っこは、どれも「結果を自分以外の何かに預けている」という一点でつながっています。
逆に言えば、自分で決めて、自分で判断し、その結果を自分で引き受ける。これができるようになると、11の失敗の多くは自然と起きにくくなります。
失敗をゼロにしなくていい
最後に、一番伝えたいことを書いておきます。
失敗をしないトレーダーはいません。私も今でも損切りをしますし、読みを外す週もあります。目指すのは失敗しないことではなく、失敗しても退場しないこと。そして、同じ失敗を二度目で止めることです。
そのための一番簡単な方法は、取引ごとに「入った理由」と「決済した理由」を一行ずつ残すことです。負けた取引を3つの根っこのどれかに振り分けていくと、自分の癖がはっきり見えてきます。
生き残っていれば、学ぶ時間はいくらでもあります。
ここから先の話
この記事で書いたのは、失敗の地図です。実際の相場の中で「今、どの根っこが揺らいでいるのか」に気づけるようになるには、判断の過程そのものを見るのが一番の近道だと思います。
会員制コミュニティ「BENTube Academy」では、毎週日曜の配信で、私がゴールドを中心に「なぜ今この判断をするのか」を相場を見ながらお話ししています。シグナルの先出しはしません。答えを受け取る場ではなく、自分で判断できるようになるための場所です。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を勧誘・助言するものではありません。FX・CFD取引は元本を保証するものではなく、預けた証拠金を上回る損失が生じる可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。
「FXは9割の人が退場する」という言葉を、一度は聞いたことがあると思います。
実際の数字は、もう少し穏やかです。金融先物取引業協会が公表している口座データ(2018〜2020年の四半期ごと)を見ると、証拠金が減った口座の割合は、時期によって4割台から7割台のあいだを行き来しています。9割は大げさ。それでも、半分前後の人が資金を減らしているのは事実です。
では、減らしている人は何で失敗しているのか。
初心者の失敗パターンとして、よく挙げられるものが11個ほどあります。どれも正しい指摘です。ただ、11個を一つずつ覚えても、たぶん直りません。私はこの世界に11年いて、失敗の形は違っても、根っこは3つしかないと考えています。
お金の置き方、心の扱い方、準備の仕方。この記事では、11の失敗をこの3つに分けて、それぞれ「なぜ起きるのか」「どう直すのか」を私の考え方で書いていきます。
根っこ1:お金の置き方を間違えている
最初の根っこは、技術でも心理でもなく「お金をどこに、どれだけ置くか」です。ここを間違えると、どれだけ分析がうまくても、いつか一回の負けで終わります。
失敗1:高すぎるレバレッジで取引している
国内のFXでは、個人でも証拠金の最大25倍まで取引できます。少ない元手で大きく動かせるのがFXの魅力ですが、大きく動くのは利益だけではありません。
ここで一つ、見方を変えてほしいことがあります。問題は「レバレッジが何倍か」という数字そのものではなく、1回の負けで口座の何%を失う設計になっているかです。10倍でも損切りが近ければ致命傷にはなりません。3倍でも損切りを置いていなければ、口座は飛びます。
レバレッジは、結果として決まるもの。先に決めるべきは、1回あたりに許せる損失の大きさです。この考え方は少額のロット管理やハイレバ取引で少額からでも詳しく書いています。
失敗2:余剰資金ではないお金で取引している
生活費や来月の支払いに使うお金でトレードをすると、何が起きるか。損切りが「見立ての間違いを認める行為」ではなく、「生活を削る行為」に変わります。
そうなると、損切りのボタンが押せなくなる。含み損を抱えたまま「戻ってくれ」と祈るようになる。これは意志の弱さではなく、お金の性質の問題です。失っても暮らしが変わらない額でなければ、人は冷静に判断できません。
チャートを開く前に、まず口座に入れるお金の「性格」を確かめてください。
失敗3:無計画にナンピンや両建てをしている
含み損が出たところで買い増し、平均の取得価格を下げるナンピン。同じ銘柄で買いと売りを同時に持つ両建て。どちらも、計画の中で使うなら一つの選択肢ではあります。
ただ、初心者のナンピンの多くは、計画ではなく「自分の間違いを認めたくない」という気持ちから生まれます。最初の判断が外れているのに、同じ方向へお金を足していく。外れた判断に資金を集めている、と言い換えることもできます。
両建ても似ています。損を確定させたくないから反対のポジションを持つ。けれどそれは判断を先送りしているだけで、スプレッドなどのコストは両方にかかり続けます。
含み損が出たときにやるべきことは、足すことでも、反対を持つことでもありません。最初に決めた損切りの場所に、価格が届いたかどうかを見ることです。
失敗4:スワップだけを見て長く持っている
金利の高い通貨を買い、2国間の金利差(スワップポイント)を毎日受け取る。預金のようにも見えるこの考え方にも、落とし穴があります。
金利差は、中央銀行の判断ひとつで縮みもするし、逆転もします。そして高金利の通貨ほど値動きが荒く、1年分のスワップが数日の下落で消えることも珍しくありません。受け取る金利より、価格が動くリスクの方がはるかに大きいのです。
スワップ目当てで長く持つなら、多少の急落では強制ロスカットにならない低いレバレッジが前提になります。そして一度は「なぜこの通貨は金利が高いのか」を自分で調べてみてください。高い金利には、たいてい理由があります。
根っこ2:心の扱い方を知らない
2つ目の根っこは心理です。FXでは、技術より先に心が崩れる場面を、私は何度も見てきました。
失敗5:損切りができない
私も昔、損切りができませんでした。「戻るかもしれない」という希望を手放せなかったのです。
損切りができない人の多くは、損切りを「失敗の証拠」だと感じています。私の中では逆です。損切りは、自分が立てたシナリオが崩れたことを確認する作業にすぎません。前提が崩れたのに持ち続ける方が、よほど判断を手放しています。
そこで大事になるのが、損切りを「金額」ではなく「場所」で決めることです。
たとえば上昇トレンドで買うなら、直近の押し安値を割れた時点で「上昇が続く」という前提は崩れます。損切りはそこに置く。そのうえで、エントリーから損切りまでの値幅と、1回に許せる損失額から、持ってよい量(ロット)を逆算します。
「◯万円負けたら切る」と金額から決めると、チャートとは関係のない場所に損切りが置かれ、ちょっとした揺れで刈られやすくなります。場所が先、ロットは後。この順番です。
決めた場所には、エントリーと同時に逆指値注文(ストップ注文)を入れておきましょう。含み損が出てから自分の手で切るのは、経験を積んでも難しいものです。なお、急な値動きでは指定した価格より不利な値で約定すること(スリッページ)もある点は知っておいてください。押し安値・戻り高値の考え方はダウ理論とは?、損切りの心構えは損切りできない時どうするかにまとめています。
1回の負けを、口座の何%にしておくか
「1回の損失は口座の2%まで」とよく言われます。この数字が絶対というわけではありません。ただ、なぜ小さく抑えるべきなのかは、連敗したときの残高を見るとよく分かります。
1回10%ずつ負けると、10連敗で残高は約35万円。元に戻すには約187%の利益が必要になります。一方、1回2%なら10連敗しても約82万円が残り、必要な利益は約22%です。
10連敗なんてしない、と思うかもしれません。でも相場を長く続けていれば、連敗の時期は必ず来ます。そのときに「まだ続けられる」残高が残っているかどうか。10連勝するより、10連敗しても退場しないことの方がずっと難しく、ずっと大切だと私は考えています。
失敗6:ルールを決めずに感情で売買している
エントリー、利益確定、損切り。この3つを決めずにポジションを持つと、その後の判断はすべて「そのときの気分」に委ねられます。含み益が出れば早く確定したくなり、含み損が出れば祈りたくなる。利益は小さく、損は大きく。典型的な形です。
だからルールが必要です。ただ、ここで気をつけてほしいことがあります。よく紹介されるのが「ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売り」といった移動平均線のルールです。分かりやすい反面、これだけで売買すると、もみ合いの相場では何度もだまされます。
移動平均線の交差は、あくまで「流れが変わったかもしれない」というヒントです。いまのトレンドは上か下か。その交差は、どんな場所で起きたのか。そうした状況の確認と組み合わせて、初めて判断の材料になります。詳しくは移動平均線とは?で書いています。
ルールとは、サインの一覧表ではありません。「どんな状況なら入るか、どこで間違いを認めるか」という、自分なりの判断軸のことです。まずは入る前に、損切りの場所と利益確定の目安をメモに書く。そこからで十分です。
失敗7:ポジポジ病になっている
ポジションを持っていないと落ち着かない。根拠が薄くても、つい入ってしまう。俗に「ポジポジ病」と呼ばれる状態です。
原因はたいてい2つ。早く増やしたいという焦りと、負けを早く取り返したいという焦りです。どちらも、結局は「焦り」です。
私がよく伝えているのは、見送ることもトレードの一部だということ。条件がそろわない日は何もしない。これは怠けているのではなく、判断した結果です。一度、自分が「見送った回数」を記録してみてください。見送った場面の判断の方が正しかった、と気づくことが多いはずです。
失敗8:他人の情報に流される
「必ず勝てる方法」「今すぐ買うべき」「高勝率のシグナル配信」。ネットには、こうした言葉があふれています。
FXに、必ず勝てる方法はありません。経験のあるトレーダーでも負けますし、私も負けます。それでも続けていられるのは、負け方を管理しているからです。この点は魔法の答えは存在しないという話でも書きました。
もう一つ、私がとても大事にしていることがあります。誰かの答えに乗って勝てたとしても、次のトレードでもまた、誰かの答えが必要になるということです。シグナルや自動売買に頼っている限り、自分の判断力は育ちません。そして、その「誰か」がいなくなったとき、手元には何も残りません。
情報は使うものであって、従うものではない。人の見方を聞いたら、「自分のチャートではどう見えるか」を必ず確かめる。この一手間が、依存しないトレーダーになるための一番の近道だと思います。
根っこ3:準備の仕方を間違えている
最後の根っこは準備です。何を触るのか、いつ触るのか、なぜ触るのか。ここがあいまいなまま画面を開くと、勘に頼るしかなくなります。
失敗9:勘や運で売買している
勘で勝つことはあります。問題は、勝ったときに「なぜ勝てたのか」を説明できないことです。説明できない勝ちは、次に同じようには取れません。そして、たまたまの勝ちで自信をつけた後にロットを上げ、大きく負ける。よくある流れです。
対策は、判断の根拠を持つこと。まずはチャートの読み方、つまりダウ理論やローソク足とプライスアクションから始めるのが良いと思います。
ただし、チャートだけで完結させないでください。私が主に取引しているゴールドは、ドルの強さと、物価の上昇分を差し引いた実際の金利(実質金利)によく反応します。「チャートでこう見えた」に加えて、「なぜ動いたのか」を後から一つ確かめる。この習慣が、勘を根拠に変えていきます。
そしてトレードの後は、勝ち負けに関係なく「根拠どおりだったか」を振り返ること。勝ったのに根拠がずれていたトレードは、負けたトレードより危ないと私は考えています。
失敗10:いくつもの銘柄に手を広げている
ドル円、ユーロドル、ポンド円、ゴールド、株価指数。チャンスを逃したくなくて、次々と見る銘柄を増やしてしまう。気持ちは分かりますが、見る数が増えるほど、一つひとつの理解は浅くなります。
銘柄にはそれぞれ性格があります。どの時間に動きやすいか、どんな材料に反応するか、1日にどれくらい動くか。これは本で読むより、同じチャートを毎日見続けることでしか身につきません。
私は11年、ゴールドを中心に見てきました。何を選ぶかより、一つを深く知ることの方が大切です。初めての方なら、情報を集めやすいドル円から入るのも良い選択でしょう。ゴールドは値動きが大きいぶん、ロットの管理をいつも以上に慎重にしてください。ゴールドの性格はGOLD完全ガイドにまとめています。
失敗11:取引する時間帯を決めていない
FXは平日ほぼ24時間取引できます。だからこそ、いつでも入れてしまう。
相場には、動く時間と動かない時間があります。取引が最も活発になりやすいのは、ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる日本時間の夜(米国の夏時間で21時ごろ以降、冬時間で22時ごろ以降)です。ゴールドも、この時間帯に大きく動くことが多くなります。
ここで一つ付け加えたいのは、動く時間は、危ない時間でもあるということです。米国の雇用統計や物価の指標が出る前後は、数分で大きく振れることがあります。慣れないうちは、重要な指標の発表時間を事前に確認し、その前後は新しくポジションを持たない。これも立派なルールです。雇用統計でゴールドはどう動くかも参考にしてください。
自分の生活の中で、無理なくチャートを見られる時間を決める。その時間の相場の性格を知る。それで準備は整います。
11の失敗に共通しているもの
ここまで11の失敗を見てきました。並べてみると、一つの共通点が浮かびます。
早く結果が欲しいという気持ちです。
早く増やしたいからレバレッジを上げる。早く取り返したいからポジポジする。早く答えが欲しいから、誰かの情報に飛びつく。損切りができないのも、「負けをなかったことにしたい」という、ある意味で最も急いだ願いなのかもしれません。
トレードで最初にやるべき仕事は、勝つことではなく、生き残ることです。生き残っていれば経験は積み上がり、判断は少しずつ育ちます。退場してしまえば、学びもそこで止まります。
今日からできるセルフチェック
最後に、11の失敗を自分に当てはめるためのチェックを置いておきます。当てはまらなかった項目が、今のあなたの伸びしろです。
- 1回の負けで失う額が、口座の何%かを答えられる
- 口座のお金は、失っても生活が変わらない額だ
- 含み損のとき、買い増しや反対売買で逃げていない
- スワップを受け取っている通貨の、急落のリスクを把握している
- エントリーと同時に、損切りの逆指値を入れている
- 入る前に、損切りの場所と利益確定の目安を決めている
- 条件がそろわない日は、見送ることができている
- 他人の見方は、自分のチャートで確かめてから使っている
- 勝ったトレードの理由を、言葉で説明できる
- 見ている銘柄の性格を、自分の言葉で説明できる
- 取引する時間帯と、避ける時間帯を決めている
ここから先の話
この記事に書いたことは、どれも「知っている」だけでは役に立ちません。実際の相場で損切りの場所を決め、見送り、振り返る。その繰り返しの中で、少しずつ「使える」ものになっていきます。
BENTube Academyでは、毎週日曜の配信で相場の見方を共有し、月3回のZoomライブで実際のチャートを前に一緒に考えています。シグナルは出しません。私の答えを渡すのではなく、あなた自身が判断できるようになることを目指す場所です。
一人で続けるのが難しいと感じたら、一度のぞいてみてください。
BENTube Academy を見てみる(月額3,500円)
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。FX・CFD取引は元本が保証されず、証拠金を上回る損失が生じる可能性があります。取引はご自身の判断と責任で行ってください。
出典:一般社団法人金融先物取引業協会「預託金増減口座数割合情報」
